経済・技術安全保障の重要性の高まりから、日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター(以下、「当センター」)では「経済・技術安全保障ウェビナー・シリーズ」を開催しています。2022年3月15日に開催された第3回会合では、杉之原真子フェリス女学院大学国際交流学部教授をお招きし、「対内直接投資規制の傾向」と題してご講演いただきました。
まず、杉之原教授は、対内直接投資(FDI)規制の目的や傾向の変遷を概観し、同規制における安全保障の観点について解説しました。次に、近年のアメリカにおける対内FDI規制の強化の動向や背景について、2018年に成立した外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)などを中心に報告しました。また、アメリカが抱えている課題として、「新興技術」や「基盤技術」リスト作成の遅れ、ならびに規制に対する産業界の反発等を指摘しました。最後に、日本における規制の動向や日米間の制度的な違いについても触れつつ、「安全保障」と「自由経済」、「柔軟性」と「恣意的運用」のバランスをそれぞれどう取るかが課題になるだろうと論じました。
ご講演を受けて、当センターの髙山嘉顕研究員が、重要技術リストや重点分野の制定、投資規制に関する国際的な枠組みの検討状況、規制に対する産業界の視点、対外FDI規制に関する国際動向などについて質問し、議論を深めました。またQ&Aセッションでは、参加者から対内FDI規制に関するアメリカ国内の政策や制度・基準、日本におけるFDI規制の行方などに関する質問が寄せられ、活発な議論が交わされました。
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