日本国際問題研究所の代表団は、2025年3月3日から7日にかけてポーランドとイギリスを訪問し、現地の研究機関とラウンドテーブルまたは意見交換会を実施しました。本訪問では、ポーランド国際問題研究所(PISM)、東方研究所(OSW)及びチャタムハウスとそれぞれ協議を行い、国際秩序の変容や安全保障問題について議論を交わしました。また、同代表団は、現地の他シンクタンク、大学、政府機関とも意見交換を行い、最新の国際安全保障環境に関する知見を深める機会を得ました。
1)ポーランド国際問題研究所(PISM)とのラウンドテーブル
3月3日、ワルシャワにおいて、日本国際問題研究所の徳地秀士理事、渡辺紫乃上智大学教授、村野将ハドソン研究所シニアフェロー、小谷哲男日本国際問題研究所主任研究員、吉田優一日本国際問題研究所研究員が、ポーランド国際問題研究所(PISM)を訪問し(今次協議における先方の代表はJarosław Ćwiek-Karpowicz所長)、政府機関関係者も交えたラウンドテーブルを実施しました。当該協議では、トランプ新政権の発足による国際秩序への影響を主軸に、多国間協調の今後の展望、インド太平洋・欧州における安全保障環境の変化、日本のインド太平洋政策の進展、中国・ロシア・北朝鮮の最近の連携・動向など、幅広いテーマについて意見交換を行いました。
2)東方研究所(OSW)とのラウンドテーブル
3月4日、ワルシャワにて、日本国際問題研究所の代表団は、ポーランドのシンクタンクである東方研究所(OSW)を訪問し(今次協議における先方の代表はJustyna Gotkowska副所長及びJakub Jakóbowski副所長)、ラウンドテーブルを実施しました。当該協議では、トランプ新政権の対同盟国政策が日本とポーランドに及ぼす影響を中心に議論が展開されました。特に、ウクライナと台湾問題の比較を通じて、インド太平洋および欧州の安全保障環境の共通点や相違点が検討され、又、戦争と復興の観点からウクライナ情勢も分析されました。さらに、欧州と日本の防衛協力の可能性、とりわけ中東欧と東アジア間の防衛装備協力の展望についても意見が交わされました。
3)チャタムハウスとのラウンドテーブル
3月7日、ロンドンにて、日本国際問題研究所の徳地秀士理事、渡辺紫乃上智大学教授、村野将ハドソン研究所シニアフェロー、吉田優一日本国際問題研究所研究員が、チャタムハウス(Chatham House)を訪問し(今次協議における先方の代表はLeslie Vinjamuri米国研究部長)、他の研究機関・政府関係者も交えたラウンドテーブルを実施しました。当該協議では、トランプ新政権の外交政策が日本・英国の安全保障戦略やミニラテラリズムに及ぼす影響について議論され、又、ロシアの継戦能力の展望や中国によるハイブリッド戦の展開についても意見交換がなされ、欧州・アジアにおける安全保障環境の相互連関が改めて確認されました。