イベント実施報告

イタリア・ベルギーのシンクタンク等とのラウンドテーブル実施報告

2025-03-20
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日本国際問題研究所の代表団は、2025年3月20日から26日にかけてイタリアとベルギーを訪問し、現地の研究機関等とラウンドテーブルを実施しました。本訪問では、SAIS(ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院)Europe、イタリア国際問題研究所(IAI)、 European Policy Centre (EPC) 、北大西洋条約機構(NATO)、 RUSI Center for Finance and Securityと協議を行い、国際秩序の変容や安全保障問題について議論を交わしました。

1) SAIS Europeとのラウンドテーブル

3月20日、ボローニャにおいて、日本国際問題研究所の吉田朋之所長、遠藤乾東京大学教授/日本国際問題研究所客員研究員、飯田敬輔東京大学教授、江藤名保子学習院大学教授、竹内舞子経済産業研究所コンサルティングフェロー、髙島亜紗子日本国際問題研究所研究員がジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)Europeキャンパスを訪問し(今次協議における先方の代表は Steven Muller Chairの Hartmut Mayer教授)、ラウンドテーブルを実施しました。同研究所はアメリカの研究機関でありながら欧州に拠点を持ち、欧州、アメリカの専門家と意見交換を行いました。当該協議では、トランプ新政権の発足による国際秩序への影響を主軸に、経済安全保障における中国の戦略、インド太平洋・北大西洋における安全保障上の関係についてなど、幅広いテーマについて協議しました。

2)イタリア国際問題研究所(IAI)とのラウンドテーブル

3月21日、ローマにて、日本国際問題研究所の代表団は、イタリアのシンクタンクであるタリア国際問題研究所(IAI)を訪問し(今次協議における先方の代表は Michele Valensise理事長、 Nathalie Tocci所長)、ラウンドテーブルを実施しました。当該協議では、北大西洋とインド太平洋の安全保障上の関係、および経済安全保障について公開で協議が行われました。特に、アメリカのトランプ政権が欧州にもたらしている動揺と、今後の日欧防衛協力の可能性や、日本のウクライナへの支援についても意見が交わされました。また、経済安全保障についても、アメリカの行っている関税戦争に対するEUと日本の対応に焦点を当てて議論が行われました。

3) European Policy Centre (EPC) とのラウンドテーブル

3月24日、ブリュッセルにて、日本国際問題研究所の代表団は European Policy Centre (EPC) を訪問し(今次協議における先方の代表はFabian Zuleeg所長)、他の研究機関・政府関係者も交えたラウンドテーブルを実施しました。当該協議では、前半に経済安全保障に関する公開セッションを行い、サプライチェーンの強化などが提唱されました。また、トランプ新政権のもたらす脅威についても議論が及び、WTOやG7など他の枠組みを使って経済安全保障を確保する可能性についても話し合われました。後半は非公開でインド太平洋・北大西洋の安全保障上の関係についてラウンドテーブルが行われ、日欧協力の可能性と挑戦について議論されました。また核拡散の脅威についても認識のすり合わせが行われ、今後の政策について話し合われました。

4)北大西洋条約機構(NATO)とのラウンドテーブル

3月25日、ブリュッセルにて、日本国際問題研究所の代表団は北大西洋条約機構(NATO)を訪問し(今次協議における先方の代表は Gwendoline Vamosインド太平洋局長)、日本政府関係者も交えたラウンドテーブルを実施しました。Scott Bray NATO事務総長補は現在のNATOを取り巻く安全保障上の脅威についてキーノートスピーチを行い、改めて情報共有における同盟国の重要性を強調しました。その後中国やロシアのもたらす脅威について議論を深め、また、アメリカの新政権がNATOに与えるインパクトについても議論が及びました。後半のセッションでは核不拡散についても議論が行われ、核による脅しが現実のものとなっている状況の中で、改めてNATOと日本が核不拡散に向けてどのような協力ができるかが話し合われました。

5) RUSI Center for Finance and Securityとのラウンドテーブル

3月26日、ブリュッセルにて、日本国際問題研究所の代表団はRUSI Center for Finance and Securityを訪問し(今次協議における先方の代表は Tom Keatinge所長)、他の研究機関・政府関係者も交えたラウンドテーブルを実施しました。日本の経済安全保障については欧州側からの関心も高く、特にプライベートセクターとの協力について活発に議論されました。デジタルマーケットの協力等についても意見交換がなされ、定期的な協議と情報共有の必要性が強調されました。