イベント実施報告

経済・技術安全保障ウェビナー・シリーズ(2021年12月23日)
第1回「経済と安全保障の現在地:経済・技術安全保障の俯瞰図」
スピーカー:佐藤丙午 拓殖大学国際学部教授(日本国際問題研究所客員研究員)

2022-01-05
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近年、経済や技術に関わる政策立案や事業展開を行う際に安全保障上の考慮を踏まえる必要性が指摘され、経済・技術安全保障の重要性が高まっています。そのような問題意識の下、日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター(以下、「当センター」)では「経済・技術安全保障ウェビナー・シリーズ」を開催することとなりました。その第1回会合は、2021年12月23日、佐藤丙午・拓殖大学国際学部教授(日本国際問題研究所客員研究員)をスピーカーとしてお招きし、「経済と安全保障の現在地:経済・技術安全保障の俯瞰図」と題し、経済安全保障における論点や課題についてご講演いただきました。

まず、佐藤教授は、経済安全保障の名の下で語られてきた問題が多岐にわたっており、そのことがこの問題領域の分かりにくさの原因になっていると指摘しました。そのうえで、これまで経済安全保障問題として問われてきた主要な論点として、国際・国内経済と安全保障との関係性や政治手段としての経済分野の利用などのテーマを挙げ、解説しました。講演の後半では、近年の日本における経済安全保障政策の動向について、与党による分析作業や政府・省庁間での連携、法整備に向けた動きなどの進展状況を報告しました。最後に、グローバリゼーションや各国による経済・先端技術開発の進展を考えた場合に、輸出管理や経済制裁といった手段がどれだけ実効性を持ちうるか考えることが課題になるとも指摘しました。ご講演を受けて、当センターの髙山嘉顕研究員が、経済安全保障政策と自由貿易体制との関係性や官民セクター間での情報共有についてコメント・質問を寄せ、さらに議論を深めました。参加者とのQ&Aセッションでは、官民セクターでの協力のあり方や財政措置の必要性、戦略的競争下における経済安全保障の行方などについて活発な議論が交わされました。

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