9.11テロ攻撃後、米国本土内のテロ攻撃の脅威に対応すべく、その重要性が認識された概念。
2001年10月8日に発出された大統領令13228によってホワイトハウス内に設置された国土安全保障局(Office of Homeland Security)が当面その中心的な役割をになうことになったが、現状においては予算とスタッフを欠いた同局の役割は限られている。
さらに、既存の情報機関、法執行機関の活動、入国管理、国境管理の業務と重複があり、これまでの拡散した業務を統合し、より効果的に米国内の脅威に対抗する体制を築くべく、現在米国議会でこれを「省(department)」に格上げすることが検討されている。
議会における議論は、2002年6月に発出された「国土安全保障省設置案」と同年7月に発出された「国土安全保障に関する国家戦略」に沿って行われているが、自前の情報収集能力の有無、また同省職員のステータスなどについて民主党が多数派をしめる上院で議論が紛糾している。
これが実現すれば、1947年の国家安全保障法による行政府の変革以来、最大級の変革となる。
現在、トム・リッジ前ペンシルバニア州知事が国土安全保障局長官に就任しているが、同局自体の明確な役割分担が定まっていないこともあり、同長官の支持率に関する世論調査では、半数近くが十分な情報を有していないため判断できないと返答している。
日本語では、「本土安全保障」という訳語も用いられているようだが、「本土」という言葉がハワイやアラスカを除外するようなニュアンスを有しているため、「国土安全保障」という訳語が定着しつつある。
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