来る9月29日−10月1日に東京の新高輪プリンスホテルにおいて、「第3回アフリカ開発会議(The Third Tokyo International Conference on African Development:TICADIII)」が開催される。TICADとは、アフリカの開発・紛争問題に対する日本独自のイニシアティブであり、日本の対アフリカ外交の貴重な財産であり、機軸である。
冷戦終結後、アフリカ問題に対する関心が低下し、「援助疲れ」が叫ばれていた中で、日本が独自のイニシアティブを発揮し、93年に開催したのが「第1回アフリカ開発会議(TICAD)」である。TICADは、東西冷戦構造から開発問題及びアフリカ問題を解き放ち、アフリカへの国際的な関心喚起に大きな貢献を果たした。今年は、その1993年の第一回会合(TICAD)開催以来10周年という大きな節目に当たる記念すべき年である。
また、TICADは、日本独自のイニシアティブでありながら、日本政府単独の主催ではなく、GCA、国連(UN/OSCAL及びUNDP)、世界銀行(2000年より)との共催という形式になっており、いわば国際社会の開発パートナーを巻き込む形で開催されている。現在、三回目を迎えるTICADは、対象であるアフリカ諸国のみならず、G8、OECD諸国、アジア諸国、国際機関、地域機関、民間セクター、NGOをはじめとする市民社会といった多様な開発主体を巻き込んだアフリカ開発の為の国際的な包括的な枠組みとなっており、その基本理念である「オーナーシップとパートナーシップ」を文字通り体現しているのである。その意味で、TICADは、アフリカ大陸の二大旧宗主国であるイギリスとフランスが夫々定期的に行っている「英連邦首脳会議」、「フランス・アフリカ首脳会議」及び「フランス語圏諸国首脳会議」等とは一線を画する。
第一回の時は、アフリカの国家元首の参加は5名に過ぎなかった。第二回には、アジア諸国を含め15カ国の国家元首が参加した。今次会議においては、20数カ国以上の国家元首が参加すると言われている。この単純な数字だけでも、TICADプロセスが、アフリカ及び国際社会において認知されていることが容易に理解される。
また、今次会議においては、「TICAD10周年宣言」「TICADIII議長サマリー」が採択されることになっている。日本が先鞭をつけてきた「人間の安全保障」のアフリカにおける実現が最も重要な理念としてクローズアップされること、また、アフリカ諸国独自のイニシアティブであるNEPADに対する具体的な支援の表明等が期待されるところである。
なお、当研究所は本年4月にTICADIII研究会を立ち上げ、「TICADIII政策提言」を起草し、7月末に矢野哲郎外務副大臣(当時)に提出している。因みに、TICADは、国外などでは、誤って発音されることが多いが、正式には「ティカッド」と発音される。
(9月22日記)
(研究員 片岡貞治)
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