イベント実施報告

第2回東京グローバル・ダイアログ

  • twitter
  • Facebook

2月26日

分科会 I-1: 米中軍事バランスと軍備管理の展望

本分科会では、米中の大国間競争における軍事的側面、並びにその軍備管理への含意が議論された。現状認識はパネリスト間で概ね一致し、西太平洋、特に台湾周辺における武力紛争勃発のリスクが高まる中、中国の軍事力近代化によってこの地域で米国が再びかつてのような圧倒的優勢を回復する可能性は低いとした。一方、米中は互いに相手が挑発を強めているとの認識を示した。また、極超音速ミサイル、ASAT、サイバー攻撃、新興技術の軍事力への組み込みなどにより、抑止関係の不安定化も高まりつつあり、核兵器使用のリスクは冷戦終結以降、最も高まっているとの危機感が示された。

米中ともに衝突を望んでおらず、パネリストからはその回避のために、米中が危機管理、リスク低減、信頼醸成のために対話や協議を活性化させる必要があると論じられた。また、大国間競争で動揺する多国間軍備管理体制を大国がリードして修復すること、多極化する核問題との関連では5核兵器国が核軍備管理への取り組みを一層強めることの必要性が述べられた。

米中競争、特に台湾危機における日本の役割としては、あるパネリストから台湾の安全は日本にとっても重要であり、力による現状変更に反対する姿勢を示すことが指摘された一方、他のパネリストからは、米国のエスカレーションを抑制すること、地域全体の安全保障秩序の構築を探ることという冷戦期のNATOが担っていた役割が参考になるとの指摘もなされた。

一覧に戻る